最愛の犬を亡くしてから、新しい子を迎えることについて考えてみた

あの子を見送った日のことは、今でも鮮明に覚えています。

13年間、毎日顔を合わせていた相棒がいない。

その現実は、頭ではわかっていても、心がなかなか受け入れてくれませんでした。

朝起きても、お皿の音がしない。

部屋に入っても、駆け寄ってくる気配がない。

ただ、静かで。とても、静かで。

ペットロスという言葉を、人ごとのように思っていたのは正直なところです。

でも実際に経験してみると、胸の奥にいつまでも澱のように残る、じっとりとした感情に呑み込まれていくような日々でした。

あの子の気配が消えてしまうのが怖くて、使っていた毛布も、首輪も、処分できずにいました。

「新しい子を迎えるなんて、あの子を裏切るようでできない」

そう思っていた時期が長く続きました。

「次の子を迎えよう」と決めるまでに、何度も立ち止まった

心にぽっかり空いた穴が、ぽっかり空いたままの方があの子に誠実なような気がしていました。

たまに友人が「また犬を飼わないの?」と訊いてくると、思わず言葉を濁してしまうほど。

ただ、不思議と、犬を見かけるたびに胸が少しだけ温かくなる瞬間が増えてきて。

「あの子みたいに、後ろ足でトントン床を鳴らす子、久しぶりに見たな」とか、「この子の鼻、あの子にちょっと似てる」なんて。

気づけば、少しずつ、あの子の面影を別の子に映すようになっていたんです。

でも、やっぱり迷いました。

「もし、またあの子のような別れがきたら・・」と。

けれど、最終的に背中を押してくれたのは、「また愛情を注げる相手がいることって、あの子も嬉しいんじゃないか」という思いでした。

ペットショップではなく、保護犬という選択

新しい子を迎えると決めてからも、どこから迎えるかは慎重に考えました。

ペットショップには、いつもたくさんの可愛い子犬が並んでいて、正直揺らいだこともありました。

でも、やっぱり保護犬の譲渡会を選びました。

「今いる命に居場所を」

という気持ちが、自分の中ではとても自然な流れだったんです。

保護犬の中には、過去に心の傷を負っている子も多いと聞きます。

しつけがされていなかったり、吠え癖があったり、人に対して不安を抱いていたり。

でも、あの子との暮らしで学んだことが、そういった子のケアにもきっと役立つという自信がありました。

「また1から関係を築くって、なんだかすごく愛しいことだな」

そんなふうに思えるようになったのは、ペットロスを経てきたからこそかもしれません。

犬は、人を見て変わる動物です

よく「犬は飼い主に似る」と言いますが、それはあながち迷信ではありません。

犬は人間の感情や生活リズムにとても敏感です。

飼い主が穏やかだと、犬も安心しますし、逆に不安定だと吠えたり粗相をしたりすることも。

あの子も、私が落ち込んでいるときには、必ずそばに座って鼻をくっつけてきました。

「今はそっとしておく時」なんて、どうしてわかるんだろうと驚くほどに。

新しく迎える子に対しても、「あなたは大丈夫だよ」という気持ちをちゃんと伝えられる自分でいたいと思っています。

そのためには、まず私自身が過去の喪失を乗り越えることが必要でした。

「もしあの子の生まれ変わりだったら」
──そんな願いを、胸のどこかで抱いていた

新しい子を迎えるまでに、ふと、こんなことを思ってしまいました。

「できれば、あの子が旅立った年に生まれた子がいいな」って。

もちろん、それが偶然の一致でしかないことも、分かっています。

生まれ変わりなんて、証明のしようがないし、確かな根拠もありません。

でも──そうだったらいいな、と願ってしまうのは、ペットを亡くした人間の、正直な気持ちだと思うんです。

あの子がもう一度、違う姿で帰ってきてくれたら。

似ているところがあるといいな。

今度はもっと長く一緒にいられたら。

そんな淡い希望を抱いてしまうくらい、やっぱり、あの子の存在は大きかった。

だから私は、譲渡会で出会う子のプロフィールを見るとき、つい誕生日に目がいってしまいます。

「この子、あの年の夏に生まれてる…」

それだけで、どこか縁のようなものを感じてしまうのです。

ただ、これは決して「あの子の代わりを探そうとしている」わけではありません。

あの子は、唯一無二の存在。

新しい子も唯一無二の存在。

それは確かなんだけど、私が信頼しているアニマルリーディングの先生が魂は地球上のあらゆる魂と繋がっていると言っていたんですよね。

だから、あの子の魂と繋がりがありそうな子と出会えたら嬉しいな、なんて誕生日というサインをきっかけにご縁を大切にしたくなるのです。

だけど、もし新しく出会う命に、少しでもあの子の時間が重なっていたなら──

それは私にとって、とても嬉しい偶然です。

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