「甘噛みは愛情表現」と聞くけれど…
うちの子も、最初の頃はよく手を噛んできました。
といっても、もちろん本気で噛んでいるわけではなく、いわゆる“甘噛み”です。
犬にとって噛むという行為は、人間でいう「手で触れる」ことに近いそうです。
特に子犬のうちは、歯が生え変わる時期でムズムズすることもあり、噛むことで不快感をまぎらわせたり、遊びの延長で愛情表現のように噛んでくることも多いと聞きました。
でも、これをそのままにしておくと、大人になったときのトラブルの原因になることも。
私も獣医さんから「甘噛みでも、やめさせるサインを出すことが大事ですよ」と教わりました。
うちでは、噛んできたときには「痛い!」と少し大きめの声を出して手を引くようにしていました。
あまり強く叱るのではなく、驚かせるような形で「これは楽しくないよ」ということを伝える感じです。
あとは、かじっていい専用のおもちゃをいくつか用意して、噛みたい欲求はそっちで発散してもらうようにしました。
特に鹿の角のような自然素材のおもちゃは、噛み心地が良いのか夢中になってくれて助かりました。
噛む子の背景には、不安が隠れていることも
噛み癖には、実は「さみしさ」や「不安」が隠れていることもあります。
特に保護犬の中には、人との距離感がうまくつかめない子や、過去に傷ついた経験のある子も多く、触れられることに対して敏感に反応してしまうこともあるそうです。
私が譲渡会で出会った子も、最初は少し警戒心が強くて、軽く手を出しただけでも緊張していました。
少しずつ、触れることが「安全」だとわかってもらえるように、焦らずゆっくり距離を縮めていくのが大切でした。
それと、毎日同じ時間にごはんをあげる、名前をやさしく呼ぶ、褒めるタイミングを統一するなど、「日々の安心感」を積み重ねることで、次第に目つきや態度が変わってきました。
噛むことでしか伝えられなかった気持ちが、他の形で出せるようになったときは、ちょっと感動すら覚えました。
「犬が噛む理由はね、自分を守っているからなの」
この話を思い出したのは、ペットロスのときにアニマルリーディングをお願いした先生との会話からでした。
私が、「あの子が小さい頃によく噛んできたのは、嫌われてたのかな」なんてぽろっとこぼしたとき、先生は優しくこう言ってくれたんです。
「動物って、怖かったり、どうしていいかわからない時に“噛む”ことを選ぶのよ。でもそれって“攻撃”じゃなくて、“自分を守るための精一杯の表現”なの。飼い主さんのことを嫌いだから、なんて理由ではないの」
その言葉を聞いたとき、救われた気がしました。
ちゃんと気持ちが伝わっていたか不安だったけれど、あの子なりに私に向き合っていたんだ、と心から思えたんです。
噛むということも、愛のかたちのひとつかもしれない
犬にとって「噛む」という行為は、実にいろんな意味を持っています。
遊びの延長だったり、嬉しさの表現だったり、ときには心の傷のサインでもある。
それを「悪いクセ」として一括りにせず、その背景にある気持ちや環境を探っていくことも、大事なことだと今は思っています。
そして何より──
あの子がしていたことの意味を、こうして後からでも理解しようとする時間もまた、飼い主としてできる大切なことの一つなんじゃないかと感じています。
噛む子に悩んでいる方がいたら、どうか「この子は何を伝えようとしているのかな」と、すこしだけ心を寄せてみてください。
ほんの小さな気づきが、関係を変える一歩になるかもしれません。
